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2017年3月19日の事故についての主観的論考②

前回の記事は事故の現場に居合わせた者として、出来るだけ正確に事実を見たままに記述しましたが、今回の記事は私、砂間隆司のかなり主観的な考え方が入るので、参考程度に見ていただきたいです。
今回の事故を受けて、改めて思い知らされたのは、我々人間は自然の摂理の中で生きていますが、自然には情も慈悲もないので、時に不運が重なれば何の罪も落ち度もない人でも、あっと言う間に命を失うこともある、ということです。特に自然を相手にするスポーツ(スカイスポーツ、マリンスポーツ、登山、etc)をする人達は、自然の中では人間はちっぽけな存在であることを理解して、謙虚に自然の摂理を理解し、受け入れる必要があるように思います。
さて、ハンググライダー、パラグライダーの愛好者にとって、死亡事故は最も避けなければならないことです。今回の事故はパイロットに大きな過失があったとは思えませんが、結果として最悪の事態になってしまいました。
今回の事故はどうすれば防げたか?というのは非常に難しいですが、どうすれば事故にならなかったか、というのはタラレバになりますが論ずることができます。
①Nさんが着陸しようとしていた時、まだ数機のハンググライダーが近くを飛んでいました。そのうちの何人かはNさんと同じように河川敷付近のサーマルで上昇し、テイクオフした板敷エリアの着陸場まで戻って着陸しています。おそらく理由は人それぞれですが、結果的に板敷エリアは、まだコンバージェンスの弱風域にあったらしく、問題なく着陸できたようです。ハンググライダー、パラグライダーは強風に対しては比較的弱く、飛びにくいので、風がぶつかって風速が弱まっているコンバージェンスをよく使いますが、コンバージェンスから外れる境い目ではコンバージェンスに吹き込む風と、違う性質の空気の境い目によるサーマルの発生に伴う強い風が吹くようです。この辺りは私自身、まだ自信がないのですが、飛んでいてコンバージェンスから外れて荒れた空域に入ってしまったけど、まだ上昇できる場合はコンバージェンスを追いかける方向に向かった方が弱風域に戻って着陸できる可能性が高まるように思います。
②板敷エリアに戻らず、近くの広い田んぼに降りたパイロットも数人いました。これは最終的にはNさんの下した判断と同じですが、高度200m以上で河川敷に降りることを諦めて障害物の少ない田んぼを選び、おそらく必死のコントロールだったと思いますが何とか、無事着陸しています。
同じ時間に飛んでいた多くのパイロットが通常とは違う大気の状態を感じていたようです。高度が低くなる前に、より安全と思われる場所を選定したのだと思います。
③風が強くて酷く荒れている空域では大気速度の低下は直ぐに失速、ロールオーバー、タンブルを招く恐れが高まるので、出来るだけ、もろに追い風を背負う方向にはターンしない。
これは、私自身の体験と今回の事故から感じた推測です。約10年近く前の3月19日に西風強風の中、高い山の山頂のパイロンを風下側から取りに行った私はギリギリでパイロンを諦め、風下側に逃げる為、向い風方向から追い風方向にターンして数秒後、激しい乱気流(もちろん今回のような分かりにくいものではなく、高い山のローターですが)に巻き込まれ、今回の事故と同じような機体の挙動を経験しています。私の場合はレスキューパラシュートが間に合い、一命は取りとめました。
では、どう逃げればいいのか、というのも難しいのですが、着陸できる地点が近くの場合は風が強いということは高性能機でも滑空比は悪くなるので、着陸地点の少しだけ風下側で大きく8の字を書いて高度処理をすれば、もろに追い風を背負う必要はなくなります。

以上、長くなってしまい、まとまりもないですが、思うままに綴ってみました。
Nさんは、とても上手なパイロットでしたし、荒れた空域での経験も豊富なパイロットでした。私自身、今回のNさんと全く同じ状況であれば、全く同じ判断を下していたかもしれません。気象を理解するのは非常に難しいし、終わりはありませんが、空を飛び続ける為には謙虚な心で気象に関する理解を深めて行かなければならないと思います。

砂間隆司
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by taka_sunama | 2017-03-24 14:15 | technic | Comments(0)

2017年3月19日 の事故についての主観的論考①

残念ながら、3月19日の15:45頃 茨城県桜川市の滑空場付近でハンググライダーの墜落事故が発生し、パイロットのNさんは搬送先の病院で死亡が確認されました。Nさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

当日はハンググライダーの競技会、板敷スプリングフライトの3日目でした。本流の風は北西でしたが、南西向きの板敷のテイクオフ場にはサーマルブローの風が入り、この日受付をした61名の選手全員がテイクオフしています。
タスクは TO→真家2km→国民宿舎2km→五叉路→益子駅→下館1km→桜川滑空場 の総距離63km
コンディションは良くも悪くも春の激しいサーマルコンディションで砂間の最高高度は2300m、3秒平均の最大上昇率は8.3m/sでした。選手の約半数にあたる29名がゴールしました。ただ、選手の多くがコース上の何処かで発達した雲による雪、雨に遭遇しています。
速い選手は14:20〜15:00くらいにゴールしていて、15:15くらいまでは桜川滑空場の南1kmの河川敷は西から北西の風が1〜2m/sくらいでハンググライダーが着陸する上で問題ないように思われました。Nさんは15:07にゴールラインを通過しているので、そのまま高度を落として着陸していればよかったのですが、ゴールしてからサーマルにヒットして1800mくらいまで上昇したようです。これは上級パイロットであれば、よくやることで、サーマルが出ている着陸場は着陸しづらいので着陸場付近でサーマルが出ている時は上げて上空で待機するのは不思議ではありません。
15:30前後から次第に風が強まり風向もはっきり西風になりました。ゴールの河川敷は南北に長かったので真西の風は降り辛くなりますが、河川敷自体は広かったので、まだ降りることは可能だったと思います。外村さんと名草君はこの頃、河川敷にランディングしています。おそらくNさんは上空からこの2人のランディングをチェックしていたと思います。早めにゴールした選手達も一時の興奮は収まり、風が強まり、降りにくくなってきたことからまだ上空にいる選手が気になりだします。
次に降りてくるのがNさんだとはっきりわかる高度になってNさんが最後の河川敷チェックをする頃、河川敷を10m/s以上の南西の突風が襲います。車に積んだ棒状のハングが飛ばされ、風を背にして広がっていたハングはパイロットが必死で抑えても、引きづられて動いていきます。今、ここに降りてきたらタダでは済まない、と誰もが思い、Nさんに身振り手振り、地声で広い東側の田んぼに行くように伝えます。Nさんもさすがに河川敷に降りることは諦め、東側の田んぼに降りる為に右にターンして東を向きました。その直後、激しい乱気流がNさんを襲いました。イメージでは先ほどの突風が河川敷の土手から上昇し、Nさんのグライダーを後ろから、ぶん殴ったように見えました。荒れたサーマルとかダストデビルという言葉では足りない程の乱気流でグライダーは激しいピッチとロールで暴れ、Nさんはコントロールバーから投げ出され、機体のフレームにぶつかったように見えました。推測ですが、この時Nさんは気を失ってしまったのではないか、と思います。
グライダーは前転し、木の葉のような動きでダイブに入り、自由落下に近い形で墜落。接地の瞬間は私からは見えませんでした。

その後、懸命の救命活動を行いましたが、残念ながらNさんの命を繋ぎ止めることはできませんでした。
長くなってしまったので、この事故をこれからの我々のフライト活動にどう活かしていくべきかは、近いうちに次の記事に書きます。


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by taka_sunama | 2017-03-23 14:51 | technic | Comments(0)

ログ研究 パリスのワープ

霊石は南風、時折小雨の為、フライトは断念。アジトでログ研究。

確認したログは、板敷の2日間とメキシコのTask4。
感想としては、誰もマジックは使っていない、ということ。
メキシコのtask4でファーストゴールしたパリスが何処でワープしたのか気になっていたので、確認してみたら、2ndパイロン付近で低くなって、遅れをとっていたと思っていたところで、いいサーマルでしっかり上げきり、ブルーで、もっとも厳しそうに見えた3rdパイロンに真っ直ぐに向かい、慎重に3rdパイロンに向かっていた前の集団をゴボウ抜きにしていた。
ログを見る時に、タスクトップをとった人のログは、たいてい最もシンプルでセオリー通りの飛びをしている。
最近思うのは、みんなが思っているほど、パイロットの技量差はないのでは?ということ。自分では結構苦労して、やっとゴールに辿り着いたと思っても、それほど間を置かずに続々と選手がゴールしてくることは、よくあること。
また、メキシコでは、前半のちょっとしたミスで、もうトップ集団には絶対追いつけないな、と思って飛んでいたら、タスク終盤でトップパイロットと遭遇したり。
自分や他のパイロットの技量を必要以上に過大評価したり過小評価したりしないで、謙虚に落ち着いて、しっかり上げて毎日ゴールに辿り着くことがコンペにおいては大切だなあ、と改めて思った。

大門さんの優勝スピーチも、まんざらお世辞ではないんじゃないかなあ。
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by taka_sunama | 2014-04-05 20:36 | technic | Comments(0)

2014/3/23 板敷 最終日

先週のハンググライダー日本選手権in板敷スプリングフライトの最終日にタスクトップのフライトが出来たので、フライトログを残しておきます。
当日は気象予報では、かなり好条件との話でしたが、テイクオフの高度での風向きが北西で強く、南向きの板敷としてはテイクオフとテイクオフ後の最初のひと上げが、非常に厳しい事が予想されました。
前日まで、1本しか飛べていなかったので、最終日にまずまず飛べないと日本選手権としては不成立となってしまいます。タスクコミッティーはなんとか飛べて上がれば、みんなが距離を伸ばせるタスクを考え、時間も板敷エリアとしては早すぎると思われる、11時テイクオフオープン、11:30スタートゲートオープン、インターバル5分の最終スタートが12:30と設定。タスクは
TO→病院→吾国山→笠間→友部→内原→大洗のタスク距離は約50km。
ダミーが少し上がっていたので、テイクオフの風に注意しながら、競技が始まるがアーリーバードと最初に並んだ選手はぶっ飛び。風も悪く、テイクオフが止まる。ここで既に11:30を迎え、上がれば早いもの勝ちの展開へ。
まだ、北西成分が強い中、このタイミングでテイクオフした岡田さんは、真っ直ぐランディング近くの小富士に向かい高度180mほどでサーマルヒット、1番上げを決める。その後、田中元気、鈴木由路、砂間の順にテイクオフ。テイクオフ前でちょっと頑張るもやはり上がらず、小富士へ。高度は低いので、かなり慎重になるが、小富士の北側のリフトは比較的しっかりしていて、みんなで上がり出す。このガーグルには元気、由路、砂間、コカジ、ムタ、ババがいたかな。北西の風に流されながら難台山方向に上げていく。
ちょうど、上げ切る頃に病院からリターンしてきた機体が1機。岡田さん。
12:05に上げきっていた集団が高度2000mちょいでスタート。病院リターン。高かった、ムタ、コカジが先行し、元気、砂間、由路が追う展開。吾国手前で、トノヤンがいいサーマルで上げていたので上げ直し。ここで1700mほどまで上げて、吾国とって笠間へ。先行していた数機も、まだ視界に捉えられる状況。平野に出てからは、それほど良さそうじゃなかったので、由路と一緒にイマイチなサーマルもちょくちょくかまいながら進んでいくと、笠間と友部の中間辺りで先行機が上がり出した。直ぐに下に入ると、手応えのあるサーマルにヒット。心地よく上げていると、砂間の上に大門さん登場。1番がっかりしたのは元気だろう。
砂間と由路がヒットしていたサーマルバブルが育ち、結局、みんなが合流して上げきり、友部へ。同高度に元気、大門さん、砂間、由路、岡田さん。
友部をとって、内原に向かう途中、高度も低くなってきて、バブルなサーマルをかまっているところで、由路と岡田さんとは高度差が付き、元気、大門さん、砂間がほぼ同時に内原をとる。まだ、ゴールまで届く高度はないが、元気がやや先行、大門さんと砂間はブレーキ。弱いサーマルで上げだす。
元気も前で低いところから上げだすが、それほどいい上がりではない。砂間と大門さんの下にコカジが入ってきた。
弱いながらも上昇は続き、バリオのゴール到達予想高度が200mを越えた。しかもこの日のゴールは3kmシリンダーなので、余裕があるはず。到達予想高度が250mくらいで、砂間がファイナルをかける。残り14kmだったけど、実際は11kmのはず。大門さんは後を追ってこない。日本選手権を獲るには元気にさえ勝てばよいので、確実にゴール出来る高度まで上げてからファイナルをかけたらしい。

途中、結構なシンクをくらい、一時、ゴール到達予想高度が90mになってビビったが、ゴールに近づくとリフト帯が続き、余裕でゴール到達。ゴール付近は上がりっ放し。
ゴールランディングが見当たらないので、ウロウロしながら探すが、時計を見たら、まだ、13:05。あっスタートしてから1時間しか経っていない。
あぁ、役員、間に合わなかったんだな。
(^_^;)

砂間のタイムは58分10秒。20分遅れでスタートした、シゲトが55分37秒。
1000点は逃したが、ファーストゴールの938点は嬉しい結果でした。


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by taka_sunama | 2014-03-30 18:28 | competition | Comments(5)

リフトが風をブロックする

THE SECRETS OF CHAMPIONS で パリス・ウィリアムズが言っていた話をはっきり経験したので、ちょっとメモ。

板敷日選最終日、オレがテイクオフしたタイミングはTO前で上がりだし吾国山に流されて上がった。わりと西風が強めでサーマルは流れて千切れ、なかなか高く上がらない。それでも途中から平林さん、オオガ、上田さんと一緒に流されながら1300mくらいまでは上がった。オレ以外はそのまま北に飛んで行ったと思うが、このタイミングでオレより風上側、ちょうど板敷TOの真上くらいのガーグルが真っ直ぐ高く上がっていた。だいぶ風上側に見えたので少し迷ったが、もっと高度が欲しかったので、ちょっと低くなるのも覚悟して、この風上側のガーグルに向かう。

すると、今まで感じていたよりもずっと弱い西風で、ほとんど高度ロスなくこのガーグルに入れた。
ここで1600m以上上げてスムーズに高峰渡りが出来た。

この経験は明らかに板敷TOから真っ直ぐ上がった大きくて強力なサーマルが、強い西風をブロックしていた。
新しい発見だった。

向かい風を進む時はリフトラインを使うべし。理由はリフトが風をブロックしてくれるからだ。
PARIS WILLIAMS
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by taka_sunama | 2010-04-14 23:01 | technic | Comments(0)

2010/3/22 板敷日選Day5

max1970m
2h07min

晴れ
西~南西 3~5m/s
ブルーだったかな?
task:TO→烏山入口の橋→西の方→南西の方→桜川滑空場

オレは烏山とって、戻って2000m近くまで上げた後、西へワングライドで降りる。最後は最も悪いラインを飛んでしまい、低高度でもサーマルヒットできなかった。

ランディング評価 C
(ギリギリセーフティーだが、カッコ悪く反省点の多いランディング)
風が弱く、無風か若干フォローだったかもしれない。ファイナルターンの高度が低く、機体を水平にする前にフレアタイミングを迎えてしまうが、なんとか水平にして放り投げフレア。ノーズは付かずにソフトボディラン。
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by taka_sunama | 2010-04-01 23:08 | competition | Comments(0)

2010/3/20 板敷日選Day3

max1020m
2h56min

霞んだ感じの晴れ
南南西3~5m/s

task:TO→真家→板敷ポンプ→豊後荘病院→吾国→北東に10km→北西に20km

オレとしては日本選手権初日。上空は南西がかなり強いがきつい逆転層のおかげで低層は普通に飛べる風。

ゲートオープン前後にZのT2の修理をしてしまい、冷静に状況を把握しないまま焦ってテイクオフしてみたら、若干お掃除タイムっぽい。
右の方でちょっと上げるがジリ貧なので東の岬に行ってなんとか上げる。ベースバー放り投げ、逆立ちソアリングがハマり、いきなりこの日の上限の900mを越える。
そのうち、豪華メンバーも出てきて上げて、難台へ移動。
できるだけ高く上げてスタート待ちの予定が、低くなってスタート出来ない状況へ。前日飛んでなくて、みんなに比べるとガーグルでの位置取りが悪く、逃げていたら、山の尾根線以下はどんどん混んできて、ヤバかった。上手い人達は高く上げて、時間になってスタートしていくが、オレは低いのでしっかり上げてからスタート。いきなり先頭からは1往復、遅れをとってしまう。真家とって、難台でちょっと戻して、そのままポンプを取ろうかと思ったが、板敷に戻って上げてからポンプを取る。

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by taka_sunama | 2010-03-25 21:05 | competition | Comments(0)
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ハンググライダーフライトログなど


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